歩様検査と獣医検査「速歩放題」
アメリカでは主に政治と運営の問題が原因で、馬の歩様が重視され、レース前には怪我を防ぐために何度も歩様をチェックします。カリフォルニア州には歩様検査に関する厳しい規則が多数あり、ブリーダーズカップも同様です。馬は毎日、時には2回歩様をチェックされることがあります。獣医の意思疎通がはっきりしない場合は別々の獣医によって3回もチェックされることもあります。日本では皮肉をあまり言いませんが、私は「速歩放題」と呼んでいます。
馬が複数回検査されたからといって、馬に何か問題があると判断されるわけではないことに注意することが重要です。ゴールデンタイムにテレビで放送されるレースには、その日の早い時間に行われるレースよりも多く検査が行われます。ダート馬は芝馬よりも歩様検査の回数が増える可能性が高くなります。年齢の高い馬は若い馬よりも検査の回数が多くなる可能性が高くなります。生まれつきぎこちない歩き方の馬は、より完璧な歩き方の馬よりも検査の回数が多くなるかもしれません。獣医によって問題があると判断された場合は、スタッフにその旨が伝えられます。
州政府の獣医とブリーダーズカップの獣医が混在し、馬の検査を別々に行ないます。獣医は、馬が1日1回以上厩舎で速歩させられないようにそれぞれ連絡を取り合い、情報を共有することになっていますが、時には連絡が行違うこともあります。獣医の連携不足で厩舎で2度目の速歩を要求された場合も、残念ながら従わなければなりません。
毎朝の調教前の歩様検査
10月25日から毎日、調教を始める前に全頭、競馬場のシュートに待機している獣医チームの前で速歩する必要があります。
そのため、公式ブリーダーズカップの調教ゼッケンを毎日、着用しなくてはなりません。
この検査は、毎朝馬場に入る時にシュートで公式ブリーダーズカップの獣医師チームが行います。シュートで獣医が馬の歩様を観察します。
シュートから本馬場に向かって一直線に速歩するだけで、検査は終了し、その後は調教を続けることができます。もう一回検査をしたり、馬を止めたり、馬から降りるように要求されることはありません。
シュート沿いにスタート地点とゴール地点があります。誰とも話す必要はありません。スタート地点まで歩いて進み、スタート地点からゴール地点まで速歩してください。その後は、予定通りの調教を続けてください。
この検査は、競馬場で調教する日にのみ必要です。馬の休養日にこの検査を行う必要はありません。
厩舎で方の歩様検査
獣医が厩舎に馬を一頭ずつ検査しに来ると、検疫厩舎の歩行エリアに連れ出すように言われます。厩舎の前には写真のような歩行エリアがあります。
馬を外に連れ出すと、まずマイクロチップをチェックされます。
馬が速歩する前に馬の体や脚に触れる獣医もいれば、速歩した後に触る獣医もいます。ケイトが、獣医に馬を見せるように言われるたびに、何をすべきか伝えます。
馬をあまり遠くまで速歩させる必要はありません。草の生えている部分の長さくらい速歩をさせれば、十分すぎるほどです。
ただし、獣医から離れて、獣医の方へ戻るまで、1往復は速歩をする必要があります。特に馬が最初にスムーズに速歩しない場合は、獣医からもう1回か2回、速歩するように指示されることがあります。獣医が馬の診察を終えると、獣医からその旨が伝えられます。
ケイトは、毎朝、歩様検査が予定されている場合、全員に通知するように努めます。ただし、通知なしに突然検査が行われることもあります。ご不便をおかけしますが、あらかじめご了承ください。午前 10 時までには、指定された馬の検査が終わると思いますが、特に通知がない限り、厩舎スタッフは毎日、その時間まで待機する必要があることにご留意ください。
歩様検査のおおよそスケジュール
これは、馬が受けることになる歩様検査の回数に関する私の最善の想定です。ただし、いつでも、何度でも要求される可能性があります。しかも、スケジュールをよく見ると、もうほぼ毎日、歩様検査があります!笑
10月25日:検疫厩舎で調教前に鞍を付けていない状態で、検疫の獣医が見る
10月25日〜10月31日:馬場の入り口で(シュート)、調教前に速歩をブリーダーズカップの獣医が見る
10月28日:出走投票の締め切り前の調教後、午前中10時前ごろにブリーダーズカップの獣医が見る
追い切りの前日に厩舎で装鞍をしない状態で検疫の獣医が見る
10月30日か31日:調教後、ブリーダーズカップの獣医と州政府の獣医が見る
11月1日:2歳の出走馬の最終検査、8時前に州政府の獣医が見る
11月2日:すべて土曜日の出走馬の最終検査、8時前に州政府の獣医が見る